科学について

科学について

 1 「科学」
 世間一般に「科学」という言葉が多く使われているが、どういう意味なのか、ふとしたこと(実は昔から少しづつ)から考えてみたいと思っていたので、今回取り上げてみた。(あくまでも持論)
 「科学」という意味は辞書によると『一定領域の対象を客観的な方法で系統的に研究すること』となっている。しかし、「科学とは」ということを探究するために科学哲学という学問があるぐらいなので、とても一口に説明できる内容ではない。思い当たる「科学」ということに関していくつかを列挙すると、
  1. 科学とは事実に基づいた経験的なもの
  2. 科学は論理的で客観的
  3. 科学は論理によって事実に働きかけるので結論に確実性がある。
    例えれば、「科学的に立証されれば」という言い方があるように
  4. 科学が与える答えは定量的である。
  5. 科学は分析的である。物事をより簡単な要素にしようとする。
  6. 科学は系統的である。あるものをいきなり行うことではなく、事実より系統的に行う。
  7. ある一定領域に対して専門的である。
となる。  科学哲学の本を読むと歴史的な累積性もあるという。それは多くの人も疑問に思っているように「科学とは何か」を問い詰めるということは「科学はいつ成立したか」「科学の成立」を説くことになるという。
 近代科学の誕生には、16、17、19世紀と諸説があるようだが、「知識一般」から「科学」へと変質していく過程があり、19世紀半ばに「科学」という概念が成立したようである。それからは「科学者」、「非科学者」という区分けが始まり、知識論という考え方も生まれたりして科学哲学の専門家が出現し、論理実証主義が生まれ、ゲーデルの「不完全性定理」、ポパーの「反証可能性」、そしてクーンの「パラダイム論」となる。「科学」という概念は時代々々で進歩しているといえる。

2 ポパーからクーンへ
 英語圏で1930年代、科学者や科学哲学者が科学とそうでないものの間に一線を画すという動きがあり、ポパーは「検証」より強い根拠の「反証可能性」という概念を打ち出した。これは、科学者が「経験(データー)]によって左右され、その理論の反証データにより、科学理論の「進歩」を保証できるというもので、ポパーはこのように科学の理論が「進歩する」ことを「検証された」と言わず、「近真度が増した」と言い、或いは「内容増加」という言い方で表現した。しかし、科学の歴史に照らし合わせてみると、新しい理論の出現時に「反証」のメカニズムは働いてはない。むしろその理論が生まれるに当って反証可能性が働いていたことを見ている。こうして過去の歴史、理論変換の歴史を継ぎ合わせることを「歴史の合理的再構成」と言っている。これに続き、ハンソンによって「データ」がそれ自体としては動かし難い事実、情報ではなく、人間の側の主観的枠組みと外界との相互作用の中で「造られる」ものだという認識を示した。これは科学のなかで不可侵とされてきたデータをその位置からから引きずり降ろした。この傾向はクーンのパラダイム論へ受け継がれた。

 ポパーの反証可能性による科学理論の進歩ある理論(T1)は反証データ(d1)によって反証されると、そのデータ(d1)を説明し得る新しい理論(T2)へと進歩する。

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